三文と鴉(長文だよーん)
改めまして。
去る4/15、『音楽劇「三文オペラ」』(@シアターコクーン)のマチネ、
『D-BOYS STAGE vol.3 鴉〜KARASU〜04』(@青山劇場)のソワレ・・・
2本の舞台を観て参りまして。
もっぱら出演者目当てでの観劇であります。
『三文』にはデーモン閣下が、そしてD-BOYSにはヒーロー番組出演者が
多数在籍するということで、高尚な趣味的理由など全く無く(笑)、
ゆえにこういう組み合わせならではの楽しみ方ができたかも。
『三文~』は演出が宮本亜門氏。
舞台装置や道具類など、“驚かせポイント”が満載で、役者さんが「落ちないか」とか
「コケないか」とか、ストーリーとは全く関係ないトコロでハラハラしました(笑)。
タイトルだけは聞き覚えがあるものの、内容は全く・・・だった『三文オペラ』。
いわゆる「善人」は全く出てこない、と言っていいようなお話で、騙し、罵り、脅し、乞う、
人間の醜い部分を・・・というか、醜さだけで出来ているのが人間だとでも言うような。
ただ命永らえるためだけに生きる・・・そんな虚しさ。
はたまた、そうまでして生きていたいという人間の逞しさ、図々しさ。
答えが用意された物語ではなく、かなりばっさりと幕が下ろされ、問いかけだけを
ばーんと投げつけられたようにして終わる・・・・・そんな印象の舞台です。
方や、『D-BOYS STAGE~』はというと、こちらはそもそも趣旨が全く違います。
若手俳優集団D-BOYS。
役者として発展途上の、若さと熱の弾ける男のコ達の、個々の、
あるいはチームとしての、「輝きを見せるため」の舞台です。
幕末、仙台藩士・細谷直英が率い、官軍と戦った「衝撃隊」、別名「鴉組」の
実話を下敷きにした、いわゆる幕末青春群像劇的なお話。
こっちは逆に、敵・味方はあるけど、“悪人”はほぼ出てきません。
黒装束のメインキャストの華麗な殺陣で始まり、劇中にもそれぞれきちんと見せ場が
作られてます。(隊長、副隊長以外の鴉組隊士は農民や木こり出身だったりするので、
“華麗な殺陣”はオープニングだけ、というキャストもいたりするんですが^_^;)
役者の、現在持てる実力と魅力を最大限に引き出し、それぞれをカッコ良く、
魅力的に見せ、また、昨年の『D-BOYS STAGE vol.2 ラストゲーム』とも同様、
時代の波に翻弄されながらも、自分の道を全力で生きる若者の姿に、
俳優道に掛けるメンバー自身の熱さを重ねて見せる・・・というのが、
この舞台のもっぱらの醍醐味。
方や『三文オペラ』。こっちはどっちかというと、役者はあくまで舞台を構成するための、
演出家の駒といったカンジ。
もちろん皆さん魅力的な方ばかりなんですが、役者さんの魅力を
見せるのではなく、お芝居を構成するために役者の魅力を使う、みたいな。
そういう、趣旨の違いを感じました。良し悪しじゃなく。
で、これだけ「違う」2本のお芝居なんですが、不思議と共通するものを
感じたりもしたり。
それは、どっちも生きるのに精一杯な社会背景や時代の中で、
正義も悪もなく混沌としているというところ。
社会の底辺で、ただ生き永らえるためだけに手を汚し、体を汚す。(三文)
「勝てば官軍」の言葉通り、何が正しいのかは後の世まで解らない。
あるのは、信念に生きるのか、生き延びる道を選ぶのかの選択。(鴉)
生きてる甲斐とか、自分の価値とか、そんなん考える余裕などない社会。
ともすれば、何か意味のある生き方をしなきゃならないという強迫観念に
迫られちゃったりもする、今自分達が居るような社会と、どっちが正常なんだろか、
みたいなことを思わせるという点では、2本とも通じるものがあったかなーと。
『三文オペラ』の方は、この戯曲が名作と言われる所以というのが、なんとなく
理屈では解るんだけど、ぶっちゃけワタシのオツムでは、ピンと来ないというか、
心底合点がいくというところまでは至らず(^_^;)、「楽しめた」けど「面白かった」のか
どうかはよー解らんぞ、というカンジだったんですが、直後に比較対照となるものを
観られたことで、その後かなり咀嚼できたように思いました。
それぞれの芝居の内容とは別の意味での面白味を味わえた日でありました。
さて具体的に演者さん方の印象など少々。(今からかい!!)
『三文~』・・・
米良さんは歌については言うに及びませんが、「喋る」部分での役回りで
とても味わいが活かされていて、またお上手だと思いました。
松田美由紀さん、秋山菜津子さん、明星真由美さんの中堅~ベテラン女優陣が
とても濃くて見応えがあり、好対照に可憐ななっちも負けずに健闘してました。
三上博史さんは流石に色気がありましたね~。
ただ、メイクと髪型のせいで何かの洋画で見た誰かのようではありましたが(^_^;)。
そして閣下、やっぱり歌は格段にクリアに内容が伝わります。
他の役者さんもみんな歌はお上手だったんだけど、役者さんが「歌で表現」するのと、
本業の歌い手が「歌の内容を伝える」のとの違いがあるのかな~と。
お芝居の方は、今回は内面をガーっと表現したり、ジワっと滲ませるような役どころでは
ないので、なんつーか普段見ている閣下とそんなに変わらない印象でしたが(^_^;)、
でも「動き」の部分では、ちょっと見た事がない閣下を見られたように思います。
今回、行ってみないと舞台装置などの関係でどうなるか解らないから、と、
取れたチケットの席表通りの列順かどうか解らない・・・というか、そのへんは
すっかり忘れてたんですが(爆)、行ってみたらなんと2列目。その場でびっくり(^_^;)。
そんな前の方にもかかわらず、舞台を見下ろす形になる高さで、
こういう位置関係でステージを見たことが無かったので、かなり新鮮でした。
(演出の都合上、逆に見辛くなる場面も若干ありますが。)
山田美保子さんのブログによると、後半の公演は演出の変わる部分があるとか。
(もう変わってるのかな?)
終盤もう1回観に行きますので、楽しみにしておきます☆
『鴉〜KARASU〜04』は鈴木裕樹くん主演。細谷十太夫直英役です。
役柄的にもカンパニーの中でも兄貴分的なポジションなのかな、という雰囲気。
ちょっと風格が出てきたカンジです。
きりりと凛々しい顔つきが、めっちゃカッコ良かった。殺陣も鮮やかでした。
今回はそんなに遠い席ではなかったんですが、あんまりカッコ良かったんで
時々オペラグラスでズッキーの顔に見とれてました(笑)。
元・博徒の鴉組隊士役の五十嵐隼士くんはとっても弾けて活き々々してました。
飄々とした独特の雰囲気を持った足立理くん。今回もとって良い味出してました。
この人好きだわワタシ♪
独特の味といえば、柳浩太郎くん、やっぱり独特で面白かったけど、
今回の役に関しては、もうちょっと台詞が聞き取れた方が良かったかも(^^;)。
『~04』・・・そう、秋には同じお芝居を別キャストが演じる『~10』があります。
今回の隼士くんの役は荒木宏文さんが、足立くんの役は瀬戸康史くんが、というように、
どう変化するのか興味深いことこの上ないです。
三上真史さん、碓井将大くん、中村優一くんなども『~10』の方に出るので、
こりゃまた観るっきゃないッスo(^-^)o
秋頃に別の何かがありそうなんで、そっちと被らなきゃいいなーと若干心配だったり(^_^;)
あ、D-BOYSメンバーの「くん」付けか「さん」付けかは、ただなんとなくです。ハイ;
・・・ところで、今更素朴なギモン。
「音楽劇」って「ミュージカル」とは違うのか?;
・・・・・あ、踊りがあるのがミュージカル?
因みに『鴉~』はストレートプレイです。
特に演劇ファンではない自分ですが、その程度の区別なら解ります。(笑)
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